ルギアの心

ルギアの心1



1章 出会い



風がとてもさわやかだ。

南の島のグルリル村、ここは台風の被害を全く受けず緑豊かで食べ物も豊富。

・・・・・、

太陽が照りつける中、小さな一本道を一人の少年が走っている。

「やべぇ!!完全に遅刻だ!!廊下の窓拭きなんて嫌だよ!!」

この少年はフラム(レシラム)。

とても元気な小学6年生、とてもせっかちなタイプであり、クラスのムードメーカー的存在。

この前、フラムは2日間連続遅刻、今日で3日連続である。

やっと校門に入ったが校庭には誰もいない。

「やっぱり・・・・・遅刻だ・・・・。」

息を荒く吐きながら3階の6−7組へ向かった。

ドアを勢いよく開けて、

「おはようございます!!!」

教室の皆はビクッとしてフラムの方を見た。クスクス笑っている者もいる。

「・・・・・。フラム君。また遅刻ですね。今何時だと思っているのですか?」

フラム達の顧問、クルック先生(フライゴン)がたずねた。

「え?何時って?11時半ですよ。」

真顔でフラムが言う。

「学校は何時から始まりますか?」

クルック先生はまたたずねる。

「9時から♪」

笑顔で答えるフラム。

「そうですよ・・・・。9時からです!!!!何回遅刻してるんですか!!の○太君ですか、あなたは!!!!」

先生の怒鳴り声にフラム肩を竦ませる。

「放課後残りなさい!!今日から2週間、廊下の窓拭きです!!全校舎!!!!」

「えええええぇぇぇぇぇ!!マジかよ!!」

「罰です!!さぁ、早く座りなさい。授業が始まらないから。」

フラムはブツブツ言いながら窓際の席に座る。4時限目の理科だ。教科書とノートを出し、机の上に開く。

黒板の最初の字を書こうとした時、声がかかる。

「今日は何が原因で遅れた?」

声をかけたのはフラムの親友、ガラド(ゼクロム)だ。

フラムの席の隣にいる。勉強熱心で何にでも興味をもつ、パソコンが得意だ。

「遅くまで漫画読んでた。」

「またか・・・。悪いけどもう手伝わんからな。」

「ちぇ、わかったよ。」

フラムはガッカリしながら小声で言った。

「窓拭きはフラムの得意分野じゃなかった?」

フラムの親友、リクス(マッスグマ)が励ました。

「相変わらずの地獄耳だな、お前は・・・。」

ガラドはあきれた顔で自分の席の後ろの後ろのリクスに目を向けた。

リクスは笑顔でピースした。

・・・、

しばらくして、4時限目の終了のチャイムがなった。

皆が席を立ち、先生に礼をする。

「今日は4時間授業だからな。掃除当番以外の者は帰ってよし。明日は修学旅行だ。客船でここから7万㌔離れたネバリア島をを回る。集合は朝6時。潮の流れがとても速い。海に飛び込むなんてバカな真似はしないように・・・・・・・・・。 あと、気をつけてくれ・・・、海には・・・・、あのルギアがいる。」

「えぇ!!あの凶暴な!?」

生徒たちは騒ぐ。

ルギアは謎に包まれている。

調査艦隊が結成され、次々と海に向かって調査しに行ったが一隻も戻ってきていない。

「あぁ・・・、左の羽手に傷がついてるからわかりやすいだろう。・・・・・・まっ、そんな危険地帯、私たちの乗る客船は通らないけどな。ここの所、自然災害も増えてるし。・・・・この事は全6年生に各担任が伝えているはずだ。」

そう言って話は終わった。

クラスの者たちは次々と教室から出て行く。残っているのは掃除当番とフラムだけ。

はやく帰りたいフラムはバケツに水を汲み、雑巾を入れしっかりと絞る。そして驚く程のスピードで窓を綺麗にしていく。全校舎にもかかわらず15分未満で全部の窓を拭き終わった。

すぐにクルック先生を呼びにいった。

「終わりました!!」

「はやっ!?」

先生は校舎を回り全部の窓を確認した。

「良し!!合格だ!!ん〜、窓がつるつるだ♪旅行が終わったらまた宜しくな・・・・・・って・・・・あれ?」

そこにはフラムの姿はなかった。もう校庭を走っているのが3階の窓から見えた。

「う〜ん・・・、かたずけもしてくれたら満点なのに・・・・。」

ガッカリしながら廊下の真ん中に置かれたバケツと雑巾を見ていた。

フラムが校門をでたらガラドとリクスが待っていた。

「早かったね」

リクスが言う。

「頑張ったよ。」

フラムは手をグーパーしながら話す。

「いよいよ明日だね」

ガラドが言う。

「うん、どんな奴だろうねそのルギア?」

リクスが言う。

「そっち!?・・・・・まぁ、先生が言ってた通り、凶暴らしいね。あと食われるとかw」

ガラドがリクスに噛みつく真似をする。

「え〜、やだよ。食べられたくないよ。」

リクスが心配そうに言う。

「怖がるなよ。海だよ!あの綺麗な場所!!」

フラムの眼は少女漫画にでる女の子の様に眼を輝かせていた。

「だね。」

リクスが笑顔で言う。

1丁目の大きな曲がり角が見えてきた。

「じゃね〜。」

ガラドは手を振りながら1丁目の道を歩いて行った。

ガラドは1丁目に住んでいるのだ。

4丁目まで来ると、今度はリクスとわかれた。リクスは4丁目、フラムは7丁目だ。

一人になって歩いているフラムは右に広がる海を見つめた。潮のにおいが鼻に伝わる。空を見るとキャモメ達が沢山飛んでいる。フラムは立ち止まり、辺りを見回した。いつ見ても海は素晴らしい。向こうの砂浜で誰かが空手の特訓をしている。(自分も、空手が使えるようになりたい)とフラムは思っていた。

小学生では技が出せない。やっと出せるようになるのは高校2年生、25歳位から技が操れるようになる。

「あと13年かよ・・・。」

フラムは歯を食い縛った。

そして、走って家に帰る。

家に着いた、鍵でドアを開け部屋に入る。

すぐに明日の旅行の支度を整え遅い昼食を食べた。

(両親はどうしたのか・・・・・、

それは、4年前に他界している。まだフラムが2年生・・・。

フラムは両親の顔をあまり覚えていない。

両親は海で亡くなっている。

大嵐で船が転覆・・・。)




フラムはソファーに横になるとそのまま寝てしまった。

ふと目を覚ました。閉めているカーテンから明かりがもれている。

時計を見ると午前4時41分。

フラムはソファーから起き、欠伸をして洗面所にはいった。

顔を洗い、歯を磨き、朝食を食べて5時32分に家を出た。

海岸沿いを歩いていると船の汽笛がきこえてきた、

もう港に到着しているのだ。

「でかいな〜」

と言いながら、フラムは駆け足で港に向かった。港には全6年生徒が集まりかけていた、フラムは先生に挨拶をし、チェックリストに名前を書くと船の中に入った。

そこで目を疑った。

コンサートホール、プール、映画、カジノ、バー、レストラン、ボウリング場、ゲーセンなど、大浴場もついている。

しばらくして先生も上がってきてこの素晴らしい設備にはしゃいでいたが落ち着きを取り戻し、こう言った。

「それではみなさん、部屋に行きましょうドアにはそれぞれ名前が書いてあります」

「ふぇ〜〜!一人一部屋かよ!!」

生徒全員驚きの様子だ。

10分後

生徒たちは各部屋にわかれた、

フラムは甲板が見渡せる部屋だった。もちろんバッチリ海も見えるのだ!!

フラムはベットに座り外を眺めている船の横をキャモメやぺリッパーが飛んでいる。もう太陽がもう空高く昇っており、海はダイヤモンドをばらまいたようにキラキラ光っている!!

雲ひとつない快晴・・・・・・・・・・だった・・・。

2時間後雲行きが急におかしくなった波がでてきて船が大きく左右に揺れる、フラムは甲板にいた。手すりにしがみつき海を睨んでいる。

雨も土砂降りに変わった。風がフラムの頬をたたく。

雷が鳴りまくり風がまた一層強くなる

放送がはいった

「甲板にいる方々に連絡!!!危険ですので至急、部屋に戻ってください!!!!!」

先生の声だ

フラムは風をまともに受けない様に床に這い蹲りながら前に進んだ。

風が凄く、口も開けない、と・・・、その時巨大な波が迫ってきて、フラムを呑みこんだ、もちろん逆らえない。

フラムは甲板から海へと投げ出された。

その投げ出された瞬間を目撃したのがリクスだった・・・・・・・・。

リクスは真っ青な顔をしてフラムが投げ出された海を見つめていた・・・・・・・。



どれぐらい時がたったか・・・・、フラムは海岸に打ち上げられていた。波の音がきこえる、

体を動かそうとしたが強い痛みに襲われて動けない。

助かったのは確かだ。感触もあるし、太陽の眩しい光が目に飛び込んでくる。

喉が痛く咳を何回もした・・・。

すると、向こうから

「あら、きがついたのね。」

と声がし、何かが近寄ってきた。

フラムがぼんやりとした目でその影をみる、だんだん焦点があってきた。

「なんだ・・・・・・ルギアか・・・・・・・・。って・・・・・・・え?」

がらがらの声でフラムが喋った。

「それが助けてあげた恩人に対する言葉?」

ちょいと怒っている感じだ。

「す・・・・・み・・・まぜ・・・・ん」

「酷い声ね、ちょっと待って今治すわ。」

ルギアはフラムの喉に手をおいた。なんだか、あたたかい・・・・。

しばらくして、フラムは勢いよく起き上った。右をみると・・・・・・ルギア。そしてフラム。

「ここは・・・?」

フラムが言う、

「名もない島よ。・・・ちょうど餌を探してたら貴方が海面に浮いてた木の残骸にしがみついていたのよ。傷だらけで気を失っていたから私が背中に乗せてここまで運んだの。」

ルギアはニッコリとほほ笑みながら言った。

「ちょいと、両手みせて〜」

フラムは言った。

ルギアはすぐに見せてくれた。綺麗な色だ。フラムはびっくりした。

このルギアの左羽に傷がはいっていたのだ。

フラムが怯えてると、ルギアは話だした。

「皆、この傷をみて怖がるのよね。向こうに住んでいる民達は自然災害が起こると皆私のせい・・・。」

ルギアの瞳には涙が浮かんでいる。

「え?・・・・、じゃあ度々起きている自然災害は一体?」

と、フラム。

「わからないわ・・・、私は皆に嫌われ200年も一人ボッチなの。そこで貴方にであったわけ・・・。そういえば、まだ名前を聞いていなかったわね、私は アージェ。」

「僕はフラム。」

この時フラムは思った、アージェを僕達の街へ連れて行こうと・・・・・。