ルギアの心2

2章 新たなる仲間との作戦







しかし困った。帰るといっても方向がわからない。さらにこの島の近海では渦潮がいくつも発生していて並みの生き物じゃ突破は不可能だ。

潜ればいい・・・、と思ったが渦潮は広範囲に発生しており、たとえ潜ってもフラムの息が続かない。

さらに潮の流れがとても速い。プロのダイバーだって下手をしたら土左衛門になるほどだ。

飛ぶ!と思ったけどフラムはまだ飛べない・・・

アージェに乗せてもらおうという方法もあったが、おもいっきり重量オーバーだ。

つれて帰る等は後回しだ。

フラムはションボリしていると突然お腹がなった。

そういえば、もう昼だ。

「お腹へったなぁ〜」

フラムがお腹をおさえながら呟く。

「じゃあ、何か探してくるわ。」

とアージェが言った。

そして大きな体を海に向けると羽を静かに広げ、ゆっくりと空に舞い上がった。太陽の光が反射して体が光っている。空高く飛んだアージェは背中の鰭を折りたたみ、頭から海へと飛び込んだ。巨大な水柱があがり、水飛沫がキラキラとひかる。

「飛べるなんていいなぁ」

フラムは思った。

そして木陰を見つけ、そこにゴロンと横になった。

「名もない絶海の孤島なのに自然が豊かだな。」

スラムは目を瞑りながら言った。

この島は長さが約18.5キロ 直径が約22.7キロ、東に活動中の火山がある。

・・・、

「アージェ、遅いなぁ・・・。腹へったぁ〜〜〜・・・。」

フラムはもう限界の様子だ。

そして立ち上がると1人で島の森の中に入って行った。

森に入ると急に辺りが一変した。明るい砂浜とは違ってここは薄暗い。フラムは足元に気をつけて歩いた。苔がびっしり生えている。

「気味の悪い森だなぁ。食べ物はあるのか?」

フラムは心配そうに辺りを見回す。

しばらくあるいていると道の向こうに誰かが倒れていた。走って近寄るとその倒れていた者はグラエナだった。

肩に深い切り傷がついており、かなりグッタリしている。

「うわ!どうしたの!?大丈夫!?」

フラムは吃驚して訊ねた。

グラエナはピクリともうごかない、死んでいるのか?いや、微かに息がある。

フラムは背負っていたリュックをおろし、消毒スプレーを取り出し、傷口に優しく吹きかけた。

グラエナが小さく呻き声をあげる。

次に消毒した針と糸を取り出し、傷口をすばやく縫った。そしてまた消毒し、包帯をまいた。

看護(?)ならフラムの得意分野だ。(掃除もだが)

フラムはグラエナの背中をずーっとさすってあげた。

・・・、

どれぐらい時間が経ったのか・・・、日はだいぶ傾いている。

フラムはぐっすり眠っている。

しかしグラエナは目を覚ました。

体を動かすが痛みがはしる。グラエナはフラムの方をみる。そして地面に転がっている包帯とハサミ、針、糸にも目をむける。最後に自分の肩を見た。包帯がしっかり巻いてある。痛みはあるが先程に比べたら全然だ。

ちょいちょい、

「ん〜〜・・・」

フラムが何かにつつかれ目をこすりながら前を向く。

すると・・・、

グラエナがフラムの目に前にすわっていた。

「うひゃぁぁぁぁl!!」

フラムがビックリして木の後ろに隠れる。なんて情けない・・・。

「あの・・・・。ありがとう。」

グラエナが言う。

「え?」

フラムは寝ぼけてる?

「手当をしてくれてありがとう」

グラエナが笑顔で言う。

「ど・・・どういたしまして」

フラムも笑顔で言う。

・・・、

「さてと、食べ物食べ物。」

フラムがのびをして言う。

「東にモモンの実の木が沢山ありますよ。でも気をつけてくださいね。あの森にはとても凶暴なウツボットがいます。皆の果樹なのにあいつが独り占めしているんです。取りに行って殺された者もいるんです・・・。」

グラエナが暗い顔で言う。

「わかった〜♪・・・、てかその傷も?」

フラムが訊ねる。

「はい・・・。最初は仲間4匹と行きました。そしたらこのザマ。私ははっぱカッターの直撃を避けましたが・・・、仲間は・・・・・・・。」

グラエナは目に涙を浮かべる。

「行こう!そこに!!」

フラムが声を張り上げて言う。

「えぇ!?殺されますよ!?」

グラエナが心配そうに訊く。

「大丈夫。良い作戦があるんだ!仲間の仇を討つためにね!!!!!」